通勤電車とコンビニという、ありふれた場所を扱ったエッセイを続けて読んだ。二人とも同じ題材に同じくらい時間を費やしているのに、視線の向きが真逆で、それを並べて読むのが今回いちばん楽しんだ部分だった。
「コンビニの蛍光灯の下では、誰の人生も半分手伝いのに見える。それでいて皆、本業の顔をしている。」
「雨の日は客の行動が正直になる。レジ袋の有無が、その人の今日一日を表してしまう。」
「優先席の隣に座ることは、誰かの疲れたを、三駅分だけ間近に見るということだ。」
Aは外へ外へと視点を広げて街そのものを主題にする人、Bは車内の一メートルに世界を圧縮する人。互いの弱点を補い合うので、交互に読むと二冊で四冊分の価値がある。同じ作者の同名の歌はなかった。たぶん偶然だ。